彼は
全てを
憎んでいた。
愛も
正義も
自然も
人も
命も
全てを
憎んでいた。
そして
己
自身を
なにより
憎んでいた。
彼は
いつも
自分の
頭蓋を
叩き割る
こと
を
考えていた。
彼は
壊したかった。
目に
見えるもの、
見えないもの、
全てを
壊したかった。
彼は
いつも
考えていた。
「俺はどうして生きているのだ?全てを憎み、己さえ憎んでいる俺はなぜ生きているのだ?全てを壊してしまいたい。全てを粉々にしてしまえばいいのだ。早くこの頭蓋を叩き割ってしまえばいいのだ。おお。誰か俺のこの頭蓋を叩き割ってくれ!」
それでも
彼は
己の
こめかみ
で
引き金
を
引くことが
できなかった。
それは
なぜか?
それは
彼にも
わからなかった。
わかるのは
彼が
永遠に
苦しみ
続けなければ
ならない、
ということ
だけだった。
彼には
己以外の
全てを
打ち壊すことか、
自身を
打ち砕くこと
しか
残されていなかった。
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