はぐるま「ただいまぁ」
ミドリ「あ、おかえりぃ」
は「プリン買ってきたぜぃ」
ミ「え、ホント?やったぁ!」
は「はい」
ミ「えへへ。ありがと」
は「やっぱりおやつはプリンにかぎるよなぁ~」
ミ「うん、そうだね」
は「・・・」
ミ「・・・」
ミ「そ、そういえばはぐるまももう卒業だね」
は「そうだな。大学四年なんてあっという間だったよ。俺ももうすぐ社会人か・・・」
ミ「もう引越し先は決まったの?」
は「いや、今不動産会社の人に物件探してもらってるところ。まぁできれば三月までには決めたいけど。遅くても五日くらいまでにな。一回は見に行っとかないといけないし」
ミ「でもクラブがあるところは海も近いしいいところなんでしょ?楽しみだなぁ」
は「やっぱりついて来るのか?」
ミ「うん。はぐるまがどんなところに住むのか見てみたいし」
は「いや、その、下見じゃなくてさ。引っ越した後もさ、俺と一緒に・・・」
ミ「う、うん。私はそのつもりだけど・・・だって私ははぐるまのパートナーなんだもん。はぐるまは嫌なの?」
は「いや、もちろん嫌じゃないよ。でも・・・」
ミ「でも・・・?」
は「もしミドリが残りたかったら、無理してついてきてくれなくてもいいかなって・・・」
ミ「え・・・?」
は「ほ、ほら。ミドリにだってこっちでの生活もあるわけだし、その、やりたいこととか、
す、好きな人とか、さ・・・」
ミ「・・・・・」
は「いやー、ミドリももうお年頃の女の子だしさ。そーいった話の一つや二つ・・・」
ミ「・・・どうして?」
は「え?」
ミ「どうしてそんなこと言うの?」
ミ「はぐるまは私についてきて欲しくないの?」
ミ「はぐるまは私のこと嫌いなの?」
ミ「私ははぐるまのパートナーじゃなかったの!?」
は「い、いや、そんなことな・・・」
ミ「じゃあどうしてそんなこと言うのよ!!」
は「だ、だからミドリにも好きな・・・」
ミ「好きな人なんていない!!私にはぐるま以外の好きな人なんているわけないよ!」
は「え・・・?」
ミ「私はいつだって思ってた。私たちはお互いのことを本当に想いあってるパートナー同士だって。自分でこんなふうに言うのはバカみたいかもしれないけど、少なくとも私はそう思ってたし、今もそう思ってる。私ははぐるまのパートナーになれて本当によかった、って。でもそれは私だけだったの?はぐるまは私のことそんなふうに思ってくれてはなかったの?」
は「そんなこ・・・」
ミ「いや!!もう何も聞きたくないよ!」
ミ「バカバカバカバカバカバカ!!はぐるまなんてだいっきらい!!」
は「お、おい!ミドリ!待て!」
は「ミドリ・・・!!」
でも
そのとき
俺は
ミドリを
追いかけることが
できなかった。
あの時
言ってたのは
俺のこと
だったのか・・・
ミドリ
が
強く閉めた
扉の
音だけが
いつまでも
響いていた。
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